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September 26, 2004

カレン・カーペンター Karen Carpenter

カーペンターズは70年代に世界で大ヒットしたアーティストであり、また近年再評価の流れもあって若い人も耳にしているそうだ。私自身も、初めておこづかいを握り締めて買ったレコードがカーペンターズのシングル盤だった。擦り切れるほど聴いて、新しい曲を心待ちにした。カーペンターズと冨田勲を耳にしなければおそらく音楽を始めようとは思わなかっただろうし、アレンジにも強い興味を持つようにならなかったのではないかと思っている。

カーペンターズは曲もサウンドも素晴らしいことはもちろん、ボーカルのカレン・カーペンターのあの深みを帯びた声と心に響く表現力は唯一無二の魅力を持っていて、まさに不世出のボーカリストといえるであろう。その、カレン・カーペンターがかつてドラマーだったことは、ファン以外にはあまり知られていないのではないだろうか。

カレン・カーペンターは、14歳の時(64年)に体育の授業が免除されるという理由でマーチング・バンドに参加してドラムを始めた。当時の憧れのドラマーはジョー・モレロ(デイブ・ブルーベック・カルテット)とリンゴ・スターだったそうだ。

翌65年、兄リチャードのピアノ、その友人ウェス・ジェイコブスのベース、カレンのドラムでリチャード・カーペンター・トリオを結成。レパートリーとしては『キャラバン』なんかをやっていたらしい。曲によっては、叩きながら歌うこともあったそうだ。結婚式やパーティのバンドをやりながら、66年にはハリウッド・ボウルでの勝ち抜きアマチュア・バンド・コンテストで優勝している。

67年になってにカーペンターズ姉妹にダニー・ウッダムズ、ゲイリー・シムズ、ジョン・ベティスによるメンバーでサマーチャイムズを結成。その後レスリー・ジョンストンが加わりスペクトラムと改名してウィスキー・ア・ゴー・ゴー等に出演したが、68年に解散する。このあたりまでのサウンドの片端は、4枚組のレア・トラック集『フロム・ザ・トップ』の1枚目の頭で聞くことができる。

その後、69年に2人で作ったデモ・テープがA&Mレコードのハーブ・アルパートの耳に止まり、「涙の乗車券」でカーペンターズとしてデビューすることになる。デビュー後も初期のうちは、ファースト・アルバムでも、またライブでもカレンは何曲かドラムを叩いてる。『雨の日と月曜日は』などのプロモーション・ビデオでそういった姿を見た人も多いのではなかろうか。また74年の武道館での来日ライブの映像では『ヘルプ』と『ミスター・グーダー』でレギュラーのドラマーとツイン・ドラムで曲を演奏している。特に『ミスター・グーダー』の方はアルバムのバージョンと構成が違っていて、途中4ビートになって4バースのソロが入るのがかっこいい。その嬉しそうな姿がまた「ドラムが本当に好きなんだな」と思わせてくれる。

このドラマーとしての経験が、カレン・カーペンターの歌の中にも生きているのではないだろうかと思う。歌においては音程や表現力はとても大事な要素であるが、メロディのリズムの取り方も大事な要素になってくるのだ。とりわけ音を出すタイミングに負けず劣らず、音を切るタイミングも重要になる。意外に忘れられがちなこういう部分がしっかりしていれば、聴き手は気持ちよく歌に耳を委ねることができる。

それに加えて、カーペンターズの場合は兄妹2人でコーラスを重ねてレコーディングをするというのも大きかったのかもしれない。かつて私もコーラス/ア・カペラ・バンドをかじった時期と録音をした時期があったのだが、生でコーラスを合わせる場合はある程度目くばせなどで阿吽の呼吸で合わせる事ができる。ところが録音のコーラスの場合はそうはいかない。先に録音した声は目くばせしてもこっちに合わせてくれないのだ(笑)。

3枚目のアルバムの中で『バカラック・メドレー』としてバート・バカラックの曲をメドレーでやっているが、曲ごとにテンポの違う曲をつなげた構成になっている。71年の作品なので今となっては古さを感じる部分もなくはないが、地味ながら底力を感じる曲だった。

カレン・カーペンターの訃報を聞いてから21年が経つが、つくづく今も生きていてくれたら・・・・・・と残念でならない。


参考資料:

『ライヴ・イン・ジャパン~イエスタデイ・ワンス・モア 武道館1974』 カーペンターズ [ユニバーサルインターナショナル] (DVD)
ライヴ・イン・ジャパン~イエスタデイ・ワンス・モア 武道館1974
『リメンバー・ザ・カーペンターズ~クロス・トゥ・ユー~』 カーペンターズ [日本クラウン] (DVD)
リメンバー・ザ・カーペンターズ~クロウス・トゥ・ユー~

『フロム・ザ・トップ』 カーペンターズ [ユニバーサルインターナショナル] (CD)

『カレン・カーペンター 栄光と悲劇の物語』 レイ・コールマン著/安藤 由紀子・小林 理子訳 [福武書店] (書籍)

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Comments

いつも日記読まさせていただいています。

カレンがドラムを叩いているところは、昔日本でのライブをテレビで見ました。そのときの印象は「カッコいい」の一言です。
サンタパパさんが言うように、ドラムをやることによってリズムを把握することが私も大切だと思います。
私事ですが、2年前ぐらい前からカラオケを少しばかり教えているのですが、歌の方に共通して言えるのはバックのカラオケの伴奏より音符が早く歌う傾向が強いと思います。(バックのリズムを正確に捕らえてない)
私も、カラオケなど歌いますがバックのリズムから耳が離れることはないですね。
バックのリズムを聞けてない人は、自分の主観の比重が偏りすぎていると思われます。人は音を聞いているようでも、聞いているつもりが多いと思われます。
演奏家でも歌手でもドラムの基礎を習うことは、音楽が上達する近道だと思います。
サンタパパさんの日記楽しみにしています。

Posted by: 山元洋介 | September 27, 2004 at 06:40

こちらこそ、いつもお世話になっています。山元さんのblogはいつも少ない言葉で的確に分かりやすく説明されているので、とても参考になっていて、友人にも薦めています。

カレンのドラムは本当にかっこよかったです!当時は「ドラムもできるんだ」と思っていましたが、本人にとっては「singing drummer」だったそうですね。

カラオケなどでバックのリズムを聴くのは、誰しも最初のうちは歌うのでせいいっぱいで難しいでしょうね。自転車の練習と一緒で最初は周りの景色なんか見る余裕はないもんで。ただその後、慣れてきた時に聴くことができるようになるかは、ほんのちょっとしたことに気づくのと気づかないのとで大きく違うように思います。

Posted by: サンタパパ | September 27, 2004 at 23:27

 こん**は。亀レスならぬ亀コメントになりますが。私はカレンさんはどのコンサートでもドラムをたたきながら歌っているものと思っていました。
 私が心に強く残っているのは彼女の英語の美しさですね。非常に発音が綺麗でかつ判りやすく、ちょうど中学生時代だったので英語の勉強に最適の教材だったですね。それもドラムのリズムにきっちりと合わせているからなのでしょうか。そういえばイーグルスのボーカルも比較的聞き取りやすいーーーかな?

Posted by: ゆうけい | September 29, 2004 at 22:30

ゆうけいさま、どうもありがとうございます。
英語の美しさは本当、その通りだと思います。英語の先生も言っていました。コーラスのとりやすさもあったかもしれませんね。
イーグルスもよく聴いていたからかもしれませんが、聞き取りやすかったように思いますよ。" I CAN`T TELL YOU WHY"とか噛んで含めるように聴きました。

Posted by: サンタパパ | September 29, 2004 at 23:03

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サンタパパさんTB カーペンターズの映像を見始めたのは、すでにカレンが他界してからです。 70年代初期、武道館公演の模様をミージックライフ(昔そうい... [Read More]

Tracked on October 01, 2004 at 00:55

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