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September 12, 2004

ラヂオ・ドラマ

日本映画を見る機会は少ないのだが、その中で気に入ってる映画のひとつが『ラヂオの時間』だ。三谷幸喜監督・脚本のシチュエーション・コメディで、ラジオ曲でのドラマ放送中に次から次におこるドタバタを描いている。

この映画の中で大きな役割を果たす人物の1人が、オヒョイさんこと藤村俊二扮する守衛の伊織万作。元ラジオ弁天の効果係だったらしいが、今は警備室で夜な夜な波の音を作ったりしているという設定だ。映画の中では局員が効果音のライブラリー室の鍵を持って帰ってしまい、必要な効果音が調達できずにピンチになったところで工藤ディレクターが伊織に効果音のCDを持っていないか頼みに行く。
「SEのレコードがいるんだ」と急き込む工藤に答える伊織。
「レコードなんてない。音は作るもんだ」
これにはシビれたねぇ。昔、演劇と8ミリの音響効果を担当していた者から言うとまさに正論で。もちろん効果音のレコードも使ったりしたが、先達から学んだノウハウを元に、劇中のシチュエーションに合わせていろんな工夫をして、場面にぴったりの音を作り上げていくのが腕のみせどころだった。もちろん持っている知識や機材は限られていたが、生活の中でヒントになるような音があるとこねくりまわしたりして実験を行い、引き出しを少しずつ増やしていっていた。

またカセット・テープが普及してポータブル・レコーダーが一般に買えるようになった頃には、サウンド・ハンティングとか生録ブームという趣味が一部のマニアの間では確立していた。高いながらもカセット・テープを利用した4チャンネルのマルチ・トラック・レコーダーがTEACから出たのもこの後期の頃だ。

そして、日本のメーカーによる安いシンセサイザーの発売。今のシンセサイザーは豊富なプリセット音があらかじめ入っているが、黎明期のものはすべてつまみで値を設定して作らなければならず、また音色を記憶できないので、同じ音を再現するにはチャートを紙にメモする必要がある機械だった(ついでに鍵盤を2つ押しても単音しか出なかった)。また自然音の真似は機能上難しいものだったが、それでもこれまでに考えたこともないような音がロジックな発想で作ることができて、音作りの可能性が大きく広がったものだった。

効果音は意外にも、本物を使うより別のもので代用した方がリアリティが出る場合もある。人の想像力が間に入るために、デフォルメされた方がより本物らしく聴こえる場合もあれば、記号化された「お約束」の場合もある。

『ラヂオの時間』で最後に伊織が嬉しそうに効果音を演出する場面、「今度はいつやるの?ラジオ・ドラマ?」と訊く場面がとても好きで思わず微笑んでしまうところだ。効果マン魂に乾杯。

ラヂオの時間
ラヂオの時間

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Comments

Very nicce!

Posted by: tawissePresee | November 30, 2010 at 02:29

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Posted by: Lorencobew | December 07, 2010 at 13:44

74163.....92310

Posted by: adenturnece | January 22, 2011 at 18:09

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