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September 14, 2004

ドンカマ

「ドンカマ」という言葉を聞いたことがあるだろうか?オカマの首領でもなければ、チーズかまぼこの親戚でもない。音楽をやっている人、それも録音や打ち込みをする人でなければあまりなじみのないこの言葉は、通常「録音時などのリズムガイド用のクロック」の意味で使われている。

いまやシンセサイザーの代表メーカーとして有名なKORGが一番最初に開発したマシンが、『ドンカマチック』というリズム・マシンだ。1963年のことというからもう40年も前である。アコーディオン奏者の長内端氏が演奏時に、バックのリズムを演奏してくれる機械が欲しかったことがこのドンカマチックの開発のきっかけとなったそうだ。世の中にはチンドン屋さんみたいに一人で鐘太鼓と旋律を演奏する人もいるが、どちらかというとあれは特殊技能のひとつだし、何よりも普通の人はそんなことやってると疲れるし、ひとつの楽器に集中できないだろう。空腹も訴えず文句ひとつ言わないリズム隊がいれば、演奏もはかどるというものだ。

内部の機械の原理は、当時のネオン・サインのシーケンスの応用みたいな構造だったようだ。ただ、マニュアルでも演奏できるように鍵盤型のスイッチがついていたところが素晴らしい。

ネーミングもまたすごい。バス・ドラムの「ドン」とクラベスの「カッ」、それプラス「オートマチック」の「マチック」で「ドンカマチック」だ。しかも開発がひょっこりひょうたん島の放映より1年早いということは、ドン・ガバチョに触発された訳もないことは明らかだ。

現在、KORGのサイトでこの「ドンカマチック」の勇姿を拝むことができる。

http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/Product/vol1.html

これ以降、スピーカー付のリズム・ボックスが次第に普及していくことになる。簡易PA(Pablic Address)として用いられることも多かった。

そういえば、友人から聞いた話。ある中学の全校朝礼で校長先生が訓話をしていたとか。ところが音量を上げすぎたのかハウリングをおこすので、ボリュームのつまみをいじろうとして誤ってリズム・マシンのスイッチを押したからさあ大変。いきなり運動場全体にチャカポコチャカポコとリズムが響き渡るはめに。校長はリズム音を止めようとしたのだが焦っていたものだから速度のつまみをアップに廻してしまい、今度は一層早いチャカポコ音がこだますることになって全校生徒の爆笑はしばらく止まらなかったということだそうで。さすがに校長にもなると、「あなたのおなまえ、なんてぇ~の?」みたいなラップを始める訳にもいかなかったんでしょうな。

リズム・マシーンもLDK-649などのサンプリング技術の発達により、今では録音のレベルではドラムと差し替えてもあまり分からないようなレベルになっているが、まれにリズム・マシンならではの古臭い音をあえて使用しているアーティストもいて興味深い。OMD(Orchestral Manoeuvres In The Dark)の『Enola Gay』もそうだったし、Pat Methenyもよく使っている。特にPat Methenyの『As Falls Wichita, So Falls Wichita Falls』は感動ものの曲だった。

現在のポップス系でのレコーディングでは、SMPTEなどのタイム・コードを入れて打ち込みと同期させたり演奏時間の調整がとれたりするので、プレイヤーがガイド信号を聴きながら演奏することが多い。SOCKSのレコーディングでも10曲中9曲がドンカマを聴きながらの演奏で、1曲のみノリが合わないので「試しにドンカマなしで通してみよう」と言われて通したらそのままOKになったということもある。

最近、松任谷由実の『夕闇をひとり』('81年)を聴き直したら、イントロとエンディングで速度が違っていてびっくり。おそらく意図してのことで、それがはまっていることに改めて唸らされてしまった。

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