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October 28, 2004

冨田勲 『音の雲』

冨田勲の著書、『音の雲―ずっと音の響きにこだわってきた』(日本放送出版協会)の紹介。冨田勲自身による半生記である。タイトルはもちろん「sound cloud」からであろう。冨田勲は私の音楽人生を左右した人物だけに、大きな興味を持って読んだ。

内容は冨田勲の幼少の体験から音にこだわってきた人生を語っている。これを読むと、冨田勲という人は、音に対する細やかな感性を持ち続けた人だとよく分かる。

中でも興味のあったことのひとつが、ムーグ(モーグ)・シンセサイザーの本邦初輸入の件。税関では楽器と認められず、苦労した様子が如実に分かる。空港に届いてから受け取るまでのなんと1ヶ月以上の時間を要しているのだという。先人ならではの大変な苦労をなさったと思う。

また、『惑星』をレコーディングした際にホルストの著作権、人格権のことで苦労された件についても触れられていた。この曲については作曲者自身が編曲・抜粋演奏・編成の変更などの禁止を定めていて、当時はまだ著作権が切れていなかったので遺族の方々の説得を含めていろいろとあったそうだ。現在のように「木星」を勝手にアレンジしてできるような状況ではなかった頃だ。ちなみに、「火星」はホルストの母国イギリスのロック・バンドであるキング・クリムゾンやレインボーが取り上げていたが、あれは大丈夫だったのだろうか?

なかでも面白かったエピソードが、ボイジャーの話。実はカール・セーガンが冨田勲のシンセサイザーのアルバムが好きで、1曲ボイジャーに乗せようとRCAの担当ディレクターのトーマス・シェパードにお願いしたところ、断られたそうである。トーマス・シェパード曰く、
「宇宙人がちゃんと印税を払ってくれる保証がないからだ」
なるほど、権利関係にうるさいUSAならではの話だ。

私としては幼少の頃から冨田勲のペンになる曲である、「新日本紀行」、「新平家物語」、「ジャング大帝」、「リボンの騎士」、「どろろ」、「マイティ・ジャック」、「キャプテン・ウルトラ」などを聴いて育った。近年、「たそがれ清兵衛」や東京ディズニー・シーの音楽などで作曲に戻ってきてくれたことを嬉しく思う。

音の雲―ずっと音の響きにこだわってきた
音の雲―ずっと音の響きにこだわってきた

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Comments

 こんにちは!
 僕も「ジャングル大帝」や「リボンの騎士」の音楽は大好きでした。ジャングル大帝は、雄大で伸びやかなメロディーがすばらしいですよね。
 今でも、西武ライオンズのチャンステーマの前のファンファーレに、あのメロディーが使われるのを耳にします。
 あのアニメのサウンドトラックは、音質の悪いものしか残っていなくて、冨田さんが販売を許可していないようなことを聞いたことがありますが。残念です。
 僕が持っているCD(冨田さん作曲のテレビ主題歌を集めたもの)では、オーケストラによる新録音が収録されているのですが、イマイチでして(^^;

Posted by: Honeywar | October 29, 2004 at 02:49

>Honeywarさま
そういえばこの本にありましたが、手塚先生は最初に「ジャングル大帝」のテーマ曲を聴いて、「いきなり冒頭からメロディが跳躍するのは、視聴者が歌いにくいからよくない」と反対だったそうです。冨田先生はそれを無視して押し切ったとか。
アニメーションのオープニングの鮮やかな場面と相まって、素晴らしい主題曲だと思っています。幼少の頃に豊かな音楽が身近にあって恵まれたことを、幸せに思っています。
サウンドトラックの発売差し止めもありましたね。音質が悪すぎて妥協できないということでしたが、ミュ-ジカル仕立てのところもありましたから挿入曲などもいい曲が多くありました。
今は少しずつ、冨田勲の曲を集めています。

Posted by: サンタパパ | October 29, 2004 at 23:28

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Tracked on October 30, 2004 at 10:12

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