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October 14, 2004

いにしえの物売りの声(後)

季節に即した音といえば夏の金魚売りのかけ声があった。「きんぎょ~え~、きんぎょ~~」という声が遠くから聞こえると、それが微かな涼を運んできたものだ。

冬は石焼イモの呼び声が嬉しい。「いぃ~しやぁ~き、いも~~~。やきいも~~」という声は容赦なく空腹を呼びおこす。ほどなく香ばしい匂いがしてくると、石焼イモ屋の呼び声にあわせてお腹が拗ねた音を立てながらおねだりを始める。それを見越したように「おいし~~~い~~~、おいもだよ~~~」と追い討ちをかけるように声が響く。

この石焼イモの声はキューバから来た人にも驚きと感銘を与えたらしく、1976年に来日したレイナルドとロレンソのイエレスエロ兄弟による黄金のデュオ、ロス・コンパドレスが「やきいもの歌」という日本語も入れた曲を作って披露している。コロ=カンタ(コーラスと歌とのかけあい)の部分で、カンパーナをバックに「ジャキ~~モ~」と歌いながら「エン・トキオ、エン・ギンサ」、「イラサイマセ、イラサイマセ」という掛け声入りのお茶目な曲だ。その曲の中で、「キューバのピーナッツ売り そっくり」と歌っているが、はたして当時のキューバのピーナッツ売りがどうであったのか興味がそそられる。

そのピーナッツ売りを歌った曲が、キューバのモイセス・シモンスが作ったラテンのスタンダード中のスタンダード、「南京豆売り」(EL MANISERO/The peanut vendor)だ。数え切れないほどのミュージシャンにカバーされている曲でもある。

もうひとつ、ジャズのスタンダード・ナンバーにもなっている「Summertime」で有名なジョージ・ガーシュインの歌劇『ポギーとベス』の中には、メドレーで「蜂蜜はいかが」~「カニ売りの歌」~「いちご売りの歌」などの短い物売りの曲が入っている。エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの共演盤では、2人が情感たっぷりに呼び声をかけているのでぜひお聴きを。

最後に静かな午後に聴くのにはとっておきの曲を。高中正義の初期の曲に「伊豆甘夏納豆売り」という曲がある。ひぐらしの鳴き声で始まるこの曲は、音に浸って聴くと落ち着くことうけあい。

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Comments

こんばんは、サンタパパさん。
トラックバックありがとうございました・・って・・
また、なんとも女心をくすぐる記事ですね(笑)

実は以前、焼き芋屋さんのことをエッセイに取り上げたことがあります。
私の実家のほうでは、「い~~しや~~~きいも~~」じゃないんですよ。
チャルメラのような管楽器だと思うんですけど、「ラ」の音がず~~~っと鳴るんです。

・・・お腹すいてきちゃいました・・・

Posted by: スノー | October 14, 2004 at 21:38

男性もヤキイモに弱いですよ(笑)。
あの声を聴くとパブロフの犬状態です(笑)。
スノーさんのお腹が減ってくるようなイラストにトラックバックさせていただきました。
「ラ」の音がず~~~っと鳴るのも聴いたことあります。
私もお腹すいてきちゃいました(笑)。

Posted by: サンタパパ | October 15, 2004 at 08:34

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Tracked on October 14, 2004 at 21:35

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