« いにしえの物売りの声(後) | Main | 熊鈴 »

October 15, 2004

マッチ箱のサンバ

match.jpg
子供の頃には映画などで、夜闇で燐寸(マッチ)でタバコに火をつける場面などに、大人の匂いを感じた人も多いのではなかろうか。今では火をつけるといえば、100円で買える使い捨てのものから重厚なオイル・ライターまでライターが主流になっていて、マッチ自体を見る機会は少なくなった。

携帯用マッチというのは手のひらに収まるぐらいの大きさの厚紙の箱があって、内箱が引出し式になっている。中にたくさん入っている爪楊枝大の軸の頭には頭薬という硫黄などを固めた部分があり、これを箱の横のやすりのような部分(側薬:がわぐすり)でこすって火をつける。その時に独特の匂いがするのもマッチの特徴だ。

昔はタバコはもちろんのこと、ガスコンロに火をつけるのも花火に点火するのもマッチの役割だった。生活に密着していたがために、マッチ箱は(家庭用の徳用マッチは別として)大きさの形容としても通用していた。UKのレズニー社が出していたミニカーのシリーズにも、「マッチボックス」という名前がついていたりする。そのマッチ箱も自動点火措置やライター類の普及によって次第にその影は薄くなってきた。

サンバの発祥はアフリカ大陸から強制的にブラジルに連れて来られた黒人奴隷と密接な関係があるが、初期のサンバでは楽器の代わりに身の回りのもの、例えばマッチ箱や皿などを使って音を出すことも珍しくなかったそうだ。ジョアン・ノゲイラなどのCDでもマッチ箱は使われていたりする。決して音は大きくは無いが、手軽に持ち運べて小粋な音をたてるかわいい楽器でもある。さすがにライターでは、いくら手首のスナップを使おうと、いくら激しく振ろうともこういう訳にはいくまい。と言いつつ、タバコは吸ったことがないのだが(笑)。

マッチを余り見かけなくなった現在、ピル・ケース風のお菓子が代用だ。私のお気に入りは「フリスク」。音が軽快で楽しい。中身を少し手のひらに出して食べると、小粋なパーカッションがひとつ出来上がる。

|

« いにしえの物売りの声(後) | Main | 熊鈴 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/53033/1689735

Listed below are links to weblogs that reference マッチ箱のサンバ:

« いにしえの物売りの声(後) | Main | 熊鈴 »