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October 17, 2004

華氏451 組曲

レイ・ブラッドイベリの小説、『華氏451度』を映画化したフランソワ・トリュフォー監督の『華氏451』という映画がある。近未来の本が禁じられた世界を描いたSFだ。その映画のサウンド・トラックに繊細なスコアを書いていたのが、50歳代も半ばであったバーナード・ハーマンである。

1911年、ニューヨークに生まれたバーナード・ハーマンは若い頃から音楽の才を発揮して、ジュリアード音楽院では特待生として迎えられて作曲や指揮を学び、22歳でCBS(コロンビア放送局)に入社。23歳でCBS管弦楽団の常任指揮者に就任して、アイヴズの作品の初演などを振っていたりする。また同時に作曲活動をしていたそうだ。

その後オーソン・ウェルズと出会い、1936年にラジオ・ドラマ「マーキュリー放送劇場」の音楽を担当する。1938年のハロウィーン前夜に放送されたあのH.G.ウェルズ原作のSFドラマ『宇宙戦争』の事件の時も、バーナード・ハーマンが音楽を担当していた。その後、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』を皮切りに映画音楽の世界に入り、1976年『タクシー・ドライバー』を最後に心臓発作で亡くなっている。その間に『サイコ』、『鳥』、『地球の静止する日』、『シンドバッド7回目の航海』などの音楽を担当している。

そのバーナード・ハーマンがオーケストラ用にまとめた曲のひとつが『弦楽器とハープと打楽器のための 華氏451 組曲』。新ウィーン楽派を思わせる近世風の弦楽器のメロディを軸に、ハープと鍵盤打楽器が絡んでいる曲で、11のパーツからなる曲だ。バーナード・ハーマンは映画の色彩にあわせた多彩な音色を駆使する変幻自在な編曲が特徴だと思うのだが、ここでもそれがいかんなく発揮されていて、きれいなようで不安定な煌く世界を演出している。『シンドバッド7回目の航海』でのシロホンの使い方のようにサウンドが画面に溶け込んでいるゆえに、曲を聴くと容易に場面が思い出される。打楽器は絡んでいないが、「The road」~「Finale」の『ガイーヌ』のアダージョや『浄夜』を髣髴とさせるストリングスの美しさも特筆すべきだろう。

エサ=ペッカ・サロネンがロス=アンジェルス・フィルを振った『バーナード・ハーマン 映画音楽集』には銅鑼やシンバル、ティンパニー、シロホンなどがてんこ盛りの『知りすぎていた男 序曲』や、名曲『タクシー・ドライバー オーケストラのためのナイト・ピース』も収められている。バーナード・ハーマンの音色使いの多彩さの一片をここでも聴くことができる。

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Comments

TBありがとうございます。
バーナード・ハーマンは、一連のヒッチ
コック作品と「タクシードライバー」しか
知らなかったんですが、「市民ケーン」
とか耳に馴染んだテーマ曲が彼の手に
よるものだったとは気づきませんでした。
今度是非CDショップで探してみたいと
思います。

Posted by: 清田予紀 | January 25, 2005 at 10:16

>清田予紀さま
こちらこそコメントをいただきましてどうもありがとうございます。 いつもいつもお世話になっています。
このCDは私としては大変楽しめる好きなCDでした。
バーナード・ハーマンについてはそのうち、映画の方のblogでとりあげようかと思っています。

Posted by: サンタパパ | January 25, 2005 at 23:48

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バーナード・ハーマン(Bernard Herrmann)も20世紀の中盤に活躍をして、数々の名曲を作った思い出深い作曲家です。 [Read More]

Tracked on February 03, 2005 at 05:04

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