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November 21, 2004

『伊福部昭・音楽家の誕生』

昨日に続いて伊福部昭について読んだ本から『伊福部昭・音楽家の誕生』(新潮社)を。各章に伊福部昭のインタビューをからめて、木部与巴仁の筆によって伊福部昭の青年時代=1946年に32歳で東京に出るまでの歩みを綴った評伝である。

時期的には戦前から終戦までの時期を過ごした北海道での伊福部昭の成長から、作曲を手がけて「日本狂詩曲」から「交響譚詩」までにあたる。その時期に北海道の風景の中で育ち、またアイヌ音楽に囲まれた体験が大きく自身の音楽に影響していることが見て取れる。富田勲の『音の雲』でも原風景について触れていたが、やはりパーソナリティを形作る大きな要素ではあるだろう。浅学にしてアイヌ音楽はほとんど聴いたことが無いのだが、すべてのエンターティンメントを音楽として捉えるといった考え方なのは興味を持った。そしてもうひとつ、誰もがそうであるがさまざまな人との出会いがその人となりを作っていったといえよう。

400ページを超える内容だけに、エピソードは詳細にまた多岐に渡って飽きさせない。伊福部昭には5月31日以外にも3月5日と3月7日の誕生日があるというエピソードなども披露されていて興味深い。また、チェレプニンに会った時にリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」のスコアを渡されて、勉強用に写譜をするように薦められる場面は印象に残った。戦前は今とは違って日本では詳細な音楽情報はおろか、いろんな曲のスコア自体も満足に入手しづらかったことは想像に難くない。

伊福部昭自身による「音楽で哲学をやろうとするから、音楽が解体してしまう。音楽は哲学より上でも下でもありません。音楽は音楽らしく書いたらいいと思います」という言葉は非常に正鵠を射ていると同時に、大変忘れられやすい事柄だと思う。


伊福部昭・音楽家の誕生
伊福部昭・音楽家の誕生


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Comments

 こん**は。ゴジラ世代は皆伊福部氏に特別の思い入れがありますね。その昔、この方は実はとっても偉い方なのだと言う「トリヴィア」を聞かされて驚いた覚えがあります。
 私の父は昔大映系列の映画館をしていて、旧ガメラシリーズはおそらく全て見ましたが、音楽、効果音ともに後発作品の悲しさか、ゴジラには遠く及びませんでしたね。なにしろ少年合唱団で「強いぞガメラ強いぞガメラ強いぞガーメーラー♪」でしたからね。

Posted by: ゆうけい | November 22, 2004 at 14:44

>ゆうけいさま

コメント、ありがとうございます。
確かに私も旧ガメラシリーズは音楽、効果音ともに及ばないと思います。それでも結構好きでしたが(^^;。
やはり金字塔である『ゴジラ』の緊迫感はただならぬものがあると思います。当時芸大に1つしかなかった、コントラファゴットを使ったりしたらしいですね。
そういえば「シンフォニア・タプカーラ」も同じ年に書かれているんですね。

Posted by: サンタパパ | November 22, 2004 at 23:49

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Tracked on November 22, 2004 at 03:39

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