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November 22, 2004

『伊福部昭の映画音楽』

『伊福部昭の映画音楽』(ワイズ出版)は伊福部昭の映画音楽について代表作をあげて論評している本で、小林淳著・井上誠共編となっている。文字通り東京に出てからの東宝映画での第一作目『銀嶺の果て』から『ゴジラvsデストロイア』までの25本の映画を中心に書かれている。これまた2段組で300ページを超す力作で読了するのにずいぶんと時間がかかった。

本自体のボリュームもさることながら、実は私自身が邦画をあまり鑑賞しない人間なので見ている映画が大変少ないということも大きい要因だった。おそらく初めて見た伊福部昭が音楽を担当した映画はリバイバル上映で『酔いどれ天使』と一緒に上映された『ジャコ萬とテツ』なのだろうが、『バンビ』が見たかった幼稚園児だったゆえにほとんど憶えていないという体たらくだ(苦笑)。上述の本の巻末に詳しいリスト(公開日、監督・脚本・出演はおろか曲数、分数、譜面のサイズに編成まで書かれているといったリストだったりする)があったので眺めてみたのだが、20作に満たない。一応CDの映画音楽集でいろいろ聴いている曲はあるのだが、映画音楽の場合は独立して語られることもあるが、基本はやはり映像あっての音楽であると思うので、読んでいてもなかなか入り込めないのが実際のところだった。

印象に残ったことをいくつか。映画音楽を手がけた第一作目が東宝の『銀嶺の果て』でまた東宝『ゴジラ』のイメージが強いのではあるが、音楽を手がけたのは大映が70作と最も多いらしい。

また映画音楽効用四原則に触れている部分もある。興味深いので下に略して引用する。

 一つ目は、映画が表す感情を音楽でエキサイトさせること(反語的用法も含む)。
 二つ目は、場所と時代の設定が音楽でできること。
 三つ目は、カットバックなどが挟まってもひとつのシークエンスとして見せることができること。
 四つ目は、映像が音楽的なものを要求する場面があること。

初めてアニメーション『わんぱく王子の大蛇退治』の音楽を担当した時は効果音も含めて、すべて楽音でという要求が合ったらしい。欧米のカトゥ-ンのサウンド・トラックではよく使われるやりかたでもある。ここでは、特殊楽器としてパーカッション類や効果音の道具をふんだんに用いて曲を作って言ったそうである。


伊福部昭の映画音楽
伊福部昭の映画音楽


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