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February 09, 2005

『武満徹 音の河のゆくえ』

『武満徹 音の河のゆくえ』長木誠司+樋口隆一編(平凡社)は1996年に亡くなった現代日本を代表する作曲家、武満徹について18人の文章と詳細な年譜によって多角的に捕らえた本である。

最も世界で名前を知られている現代音楽作曲家の一人である武満徹だが、その仕事は多岐にわたっている。所謂現代音楽の作品にしても、オーケストラを使うものや伝統的な和楽器を組み入れたものからミュージック・コンクレートによる作品があり、また映画音楽やポップスの作品でも少な
からず有名なものがある。

もちろん内容はまったく体系的なものではなくそれぞれの著者の評文の集大成であるし、個々の文章自体はそれほど長いものではない。ただそれなりに広く網羅されているのでかなりのボリュームと読み応えは感じた。

本文中にも四方田犬彦による「武満徹と映画音楽」という評文もあるが、中でも私が一番興味をそそられたのは附録にある本人自身の講演記録である「映画と音楽」についての内容だ。1991年に明治学院大で公演された内容を上映された資料は別として、質疑も含めて完全収録されている。簡単な映画音楽技術史を前置きに語られたこの公演では、武満徹自身が映画音楽を書くことに対して持っている意義というものを感じていたことが語られている。また、確執のあった黒澤映画に対するシュートな質問(苦笑)にも誠実に答えていたり、またタルコフスキーについて嬉々と語る武満徹の姿が目に見えるように浮かぶ。

武満徹 音の河のゆくえ
武満徹 音の河のゆくえ


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