『Touch the Sound そこにある音』
東京では4/11(土)に公開になった、世界的なパーカッション・プレイヤーであるエヴリン・グレニーのを1年間追ったドキュメント映画。音と音楽が好きな人すべてにお薦めしたいすばらしい音楽ドキュメント・フィルムだと思う。
エヴリン・グレニーは、スコットランドのアバディーンに生まれ、歳の頃から自らの聴覚に異常をおぼえて聴覚障害を患い、12歳の誕生日を迎える頃にはほとんど耳が正常に機能しなくなる。そんな中で音楽好きだったエヴリン・グレニーは、振動を頼りに音に対する感覚を鍛えて王立音楽院(Royal Academy of Music)へ入学、クラシックの世界に入った。その後、打楽器奏者として多くの一流指揮者やオーケストラと共演もし、1988年と2001年にはグラミー賞を受賞、奨学金支援や音楽教育も積極的に行っているそうだ。
この映画の見所のひとつは、エヴリン・グレニーの真摯な音と音楽に対する考え方。映画の随所に指し挟まるインタビューの中で、彼女にとっての音とは、音楽とはについて真摯なに述べている。
もうひとつは、監督の手腕によって普段の音というものに随所で気づかされること。何をズーム・アップするかによってその音自体がクローズ・アップされる効果を見せている。例えば空港でカートを引っ張っている時に、カートのジッパーの金具をアップしていくと、その金具が鳴る音が聴こえてくるのだ。そして、たまたま日本での撮影なのか、日本で強い印象をうけたのか判らないが、街中や食品売り場での喧騒と、池や石庭での静寂。この映画では、まったくサウンドスケープというものを説明する言葉はいらない。
そして、映画自体が音と音楽を大切にして作っていること。よくありがちな音楽ドキュメントみたいに、音楽を無神経に切り刻んでインタビューを割り込ませるよな無粋な真似をしていない。まるで、映画自体がひとつの音楽のようにまとまっている構成になっている。
もちろんエヴリン・グレニーのいろんな演奏はまったく申し分がなく、目と耳が釘付けになる。映画の中心的存在であるフレッド・フリスとのデュオ、オラシオ・エル・ネグロ・エルナンデスとのビルの屋上での共演、鬼太鼓座との共演、日本でのライブ風景(ピアノにリズムを感じないのが気になった)、そしてソロの演奏など、見所は多い。
ぜひとも、音と音楽が好きな方には機会をみつけて見ていただきたい映画だ。
『Touch the Sound そこにある音』 公式サイト
(高品質の予告編あり)
Comments
きょうサンタパパの、土も公開する?
Posted by: BlogPetのあかしろぱんだ | March 22, 2006 at 14:22
こんにちは、れおだびです。
私もTBをさせていただきました。
それにしても、打楽器は深いですね。
今、ドラムを習いに行っているのですが、なかなかうまくなりません。あんなにうまく演奏できるといいだろうなとつくづく思います。(もちろん比較にもなりませんが・・・)
また、時々お邪魔します。
Posted by: れおだび | April 09, 2006 at 13:56
>れおたびさま
コメントが大変遅くなって申し訳ありません。トラックバック、どうもありがとうございました。
打楽器は間口が広くて深い楽器だとつくづく思います。
こんなところですが、これからもよろしくお願いいたします。
Posted by: サンタパパ | June 14, 2006 at 00:08